Lakshmi Krishnan, Daniel Marchalik著「ハートブレイクを理解する―たこつぼ心筋症から『嵐が丘』へ」 

医学誌『ランセット』に掲載された、

『嵐が丘』のハートブレイクに

関する記事のご紹介です。


Lakshmi Krishnan, Daniel Marchalik,

“Understanding heartbreak: from Takotsubo to Wuthering Heights

The Lancet, vol.392, September 8, 2018.


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昔から芸術作品には、

心に衝撃を受けて死ぬという

現象が出てきますが、


医学の世界では、1990年代に、

日本人の佐藤光医師が、

強い感情的ストレスで

心疾患が起きるケースを


「たこつぼ心筋症」

Takotsubo cardiomyopathy

として報告しました。


心臓がたこつぼのような形になるそう。


エミリー・ブロンテの『嵐が丘』(1847年)では、

ヒースクリフが、別の人と結婚してしまった

愛するキャサリンに、こう叫びます。


おれはおまえのハートをブレイクしてない。

ブレイクしたのはおまえだ。

そしておまえのハートをブレイクすることで、

おまえはおれのハートもブレイクしたんだ。


ここでの「ハートがブレイクする」は

比喩に過ぎません。


体の丈夫なヒースクリフは、

この後キャサリンが死んでも、

何年も生き延び、苦しみ続けます。


でも18年経つ頃には、

キャサリンの存在を感じるようになり、

毎日会おうと努力します。


そしてやっと会えた!と思った時、

過度の喜びでハートがブレイクし、

翌朝死んでしまいます。


つまり小説の中で謎になってる

ヒースクリフの死因は、

「たこつぼ心筋症」だったのかも

しれないのですね。


奇しくも、日本人医師が見つけた

日本語の入った名前の病気で、

とても不思議な気がしますね。


話は変わりますが、

『ランセット』には、

博士論文作成中に、

お世話になりました。


1823年に創刊した、

Thomas Wakleyさんに感謝です。


農家出身の外科医

(当時は内科医より身分が下)の

ワクリーさんは、


『ランセット』で熱く

医療改革を訴え続けた

勇敢な兵士でした。


by 川崎


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by eikokushosetsu | 2018-09-19 23:41 | 小説と芸術