ドラマ『THE TUDORS〜背徳の王冠〜』

みなさま、ゴールデンウィークは、

どう過ごされましたか?


私はドラマ『THE TUDORS〜背徳の王冠〜』

The Tudors, 2007-2010)を見ました。


下はヘンリー八世と、アン・ブーリンです↓


チューダーズ <ヘンリー8ä¸–ã€€èƒŒå¾³ã®çŽ‹å† ï¼žã€€DVD-BOXⅡ



主役はヘンリー八世。

シーズン14、全38話と長いので、


6人の妻、

宗教改革、

フランスや

神聖ローマ帝国との関係など、

幅広く丁寧に描きます。


特にシーズン3は、

イギリスの宗教改革を、

よく描いていました。


視聴率は落ちたみたいですが、

他の映画やドラマでは、

なかなか見られない

貴重なシーンがいっぱい。


例えば、

フランスから来たユグノーたちが、

イングランドの修道院を

破壊する場面。


ちゃんとフランス語を

しゃべってました。


ヨークシャーなど

イングランド北部で起きた

謀反「恩寵の巡礼」に至っては、


計画から指導者ロバート・アスクの

処刑まで、2話を使ってじっくり描きます。


さらには数年後に

王が行幸で北部を訪れ、

蜂起した民衆を許すシーンまで再現し、

至れり尽くせり。


「六カ条法」を制定する、

会議の様子も見られます。



それでは登場人物別に、ご紹介します。


まずは主役のヘンリー八世

(ジョナサン・リース=マイヤーズ)。


が次々変わるし、年はとるけど、

内面的には、あまり変化しない。


スポーツマン。

女好き。

肖像画に似てない。


演じる俳優さんは、

意外に無味無臭、無色透明。


そのお蔭か、さほど違和感なく、

強烈なシーンも見られる。



次に4人のトマス。


他にもトマスがたくさん

登場しますが、

宗教関連の重要な人に絞ります。



1、まずトマス・ウルジー。

ハンプトン・コートを建てるほど、

強欲そうには見えない。


失脚後、ロンドン塔で自殺する設定。

「自分は王の希望を叶えるのに夢中で、

神を疎かにしてしまった」と反省。


そう自覚しつつ、

自殺という罪を重ねる姿は、痛々しい。



2、トマス・モア(ジェレミー・ノーサム)。


『わが命つきるとも』(1966)のモアは、

一貫して、信念と威厳に溢れた偉人。


『ウルフ・ホール』(2015)では、

一見柔和だけど、逮捕後、

精神の立派さがじわじわ伝わりました。


THE TUDORS〜背徳の王冠〜』では。。。

うーん、やっぱり integrityの人。


ドラマの中では、

キャサリン・オブ・アラゴンと

鏡像を成すかも。


「女性も教育を受ける日が来る」と

信じ、娘に古典語を教えるなど、

現代的価値観も披露。


だけど他の二人のモアより、

周辺や状況もトータルすると、

もう少しリアルに描かれていたと

解釈できるかも。


ロンドン塔で髭が生えたり、


妻と娘が「表向きは王に従って、

心は別のことを考えればいい。

私たちもそうした」といって

説得したり。


それからモアの処刑の直前に、

フィッシャー司教の処刑が

入るんですけど、


当時の処刑前の決まり文句かも

しれないけど、この人は、

集まった民衆に向かって、


「自分だって死ぬのが

怖くないわけじゃない。

だからどうか、私に力を貸してほしい」


と言って、神の加護を祈ってもらいます。


モアの処刑シーンにはない、

より人間的な側面を、

フィッシャー司教が先に体現し、


その記憶があるうちに、

モアの処刑を見ることになります。


演じるジェレミー・ノーサムの顔には、

徳と福がありますね。


だから『嵐が丘』(1992)の

ヒンドリー役で酔って暴れる姿は

似合ってなかったし、


『抱擁』(2002)でも

不倫するタイプに見えませんでした。


この点で、モアは直球の配役で、

ますます裏表のない人物の印象を

強めたと思います。



3、トマス・クロムウェル。


『ウルフ・ホール』では、

心拍数少なめ、血圧低めのイメージ。


THE TUDORS〜背徳の王冠〜』では、

加えてきわめて合理的。


彼がプロテスタントよりなのも、

「神と人の間に、仲介はいらないでしょ」

という合理主義からくると思わせる。


ウルジーは王、

モアは法を見て生きたけど、


クロムウェルは、生身の人間を中心に

物事を考える、現代人といった感じ。



4、トマス・クランマー。

下の肖像画そっくり!





ドイツでひそかに結婚し、

妻を木箱に隠して連れてくる。


「共通祈祷書」を作ったり、

メアリーの弾圧に苦しんだりする姿は、

ドラマでは描かれないので、

凡人の印象。



次にヘンリー八世の6人の妻です。


1、キャサリン・オブ・アラゴン。

高貴な生まれ育ち、高い人格、

篤い信仰心、さらには

夫と娘への愛も揺るぎない。


寛容で、自分を冷遇するヘンリーに、

折に触れ、愛と信頼を伝える。


ヘンリー八世が、彼女がいると、

なんとも居心地悪そうにしてるのは、

この完璧さのせいか。



2、アン・ブーリン。

わがままな顔をしてるけど、

失脚後、どんどん深みを増し、


処刑場面では美しく高貴で、

マリー-アントワネットを思い出させる。


希望、不安、絶望など、

異なる強い感情を

味わい続ける星回り。


このドラマでは、姦通はなし。

お兄さんも誘惑しない。


自分を利用し尽くした、

強欲なお父さんも恨まない。



3、ジェーン・シーモア。

途中で俳優さんが変わって混乱しました。


清く正しく美しい人。


死ぬ直前に、夫の愛人となっている

侍女に、「私が死んだら、

王を慰めてあげてね」とまで言う。


待望の男子が生れたのは、

彼女の人徳のせいかと思わせる。



4、アン・オブ・クレーヴズ。

王に嫌われている時は

ぱっとしないけど、


結婚解消後、

マイペースで生活を楽しみ、

カードゲームや音楽も嗜んで、

すっかり魅力的な女性に変身。


良識と愛情を持ち、

王の娘のメアリーやエリザベスなど、

皆から慕われる。


ついには王にまで。。。

(こうなるなら、ずっと

結婚してればよかったのに)



5、キャサリン・ハワード。

若くて、セロトニンがいっぱい。


侍女たちといつもクスクス。

悪気はないけど、分別もない。


カルペパーとの浮気がばれ、

処刑される。


カルペパーの方は、

性欲を抑えられないタイプとして

描かれてたけど、


キャサリンの浮気の動機は、

いまひとつ不明。


王が来なくて、さびしかった?

おじさんの王より、

若いカルペパーがよかった?



6、最後の妻、キャサリン・パー。


夫が死んだら、ジェーン・シーモアの

兄トマスと結婚するのを

楽しみにしてたのに、


もう少し、というところで

王に見初められ、仕方なく結婚。


(トマス・シーモアとは、

王の死後、晴れて結婚)


エラスムスを英訳する教養人。

「国民に、素晴らしい書物を、

英語で読んでほしいのよ」


ルター派の疑いがかけられると、

関連本をすぐさま処分するなど、

信念は固いけど、行動は柔軟。



最後にヘンリー八世の二人の娘。


1、メアリー。

母への愛とカトリック信仰が、

揺るぎない。

若い時から、中年の風格あり。


終盤では、カトリックのためなら

何でもするという怖さが出てくる。


「私が男に生まれなかったのが悪い。

私が男だったら、宗教改革なんて

起こさせなかったし、

今あるごたごたも、なくて済んだ」


すごい人。。。



2、エリザベス。

明朗だけど、冷徹な少女。


死期迫るお父さんに謁見した時も、

ヘンリーが退場後、


メアリーはその場で泣き崩れるのに、

エリザベスは明るい顔でさっさと退散。


キャサリン・ハワードの処刑に、

結婚がもたらす面倒を思い、

「私は一生結婚しない」と明言。



他にも、保身と出世しか

考えてない人たちの中で、

芸術家たちが良い味を出していました。


一番素敵だったのは、

トマス・タリス。


「曲を作るんじゃない。

頭に流れる曲を聞いて、

それを書きとめるんだ」と、

夢見心地で作曲。


システィナ礼拝堂の天井画を制作中の、

熱血ミケランジェロも、

ローマ教皇(ピーター・オトゥール)と

すれ違います。


トマス・ワイアットが詩作するところも。


さらには、ヘンリー8世が

リュートを爪弾きながら

「グリーンスリーブス」を作曲する

シーンもあります。


サリー伯ヘンリー・ハワードが、

マルティアリスの

‘The means to attain a happy life’

訳すところも。


この詩の内容「幸せな人生とは、

静かな心、対等な友、恨み、

争いのないこと。シンプルな知恵。

心配のない夜」が


彼の有罪判決の時にも流れ、

さらにはドラマ終盤の雰囲気も

要約するという演出。



最終回では、ハンス・ホルバインが、

ヘンリー八世の大きな肖像画を、

王に披露するシーンが

クライマックスとなっています。


このように、テューダー朝の

重要人物が次から次へと登場する、

THE TUDORS〜背徳の王冠〜』。


みなさまも、ぜひご覧くださいね。

お腹いっぱいになります。


見始めると、止まらなくなる

可能性があるので、

時間に余裕のある時がおすすめです。


by 川崎


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by eikokushosetsu | 2018-05-06 23:13 | 映画と文学