イーストウッド監督の映画『ヒア アフター』と、チャールズ・ディケンズの小説『デイヴィッド・コパフィールド』

クリント・イーストウッド監督の映画

『ヒア アフター』(2010年)。


商品の詳細


この映画では、

文豪チャールズ・ディケンズが、

重要な要素になってます。


(冒頭に、リアルな津波のシーンがあります。念のため。)


主人公のアメリカ人、

ジョージ(マット・デイモン)は、

病気で手術をしてから、

ある特殊能力を、持つようになりました。


その能力のせいで、誰とも親しくなれません。

その能力のことを知ると、

みんな、引いてしまうんですね。


孤独なジョージが、

昼間働き、

夜アパートに帰ってきてから、

ささやかな楽しみとしているのが、

ディケンズ小説の朗読を、

プレイヤーで、きくこと。


ジョージは、ディケンズの大ファンで、

家に写真を飾ってるほどなんです。



チャールズ・ディケンズ(1812年~1870年)

イギリス人、ロンドンで活躍↓




ジョージがきいているのは、

『デイヴィッド・コパフィールド』(1849-1850年出版)。

小説の主人公、

その名も、デイヴィッド・コパフィールドと、

その乳母ペゴティの、やり取りのシーン。


『デイヴィッド・コパフィールド』は、

幸せな子供時代を送った少年が、

お母さんが再婚してから、

世に放り出され、



学校でいじめられたり、

子供なのに働かされたり、

大切な人を失ったりして、

苦労する物語。



最後には、有名作家になるので、

ディケンズの自伝的小説とも、いわれてます。


お母さんは、

小説の早い段階で、亡くなりますが、

乳母のペゴティは、健在で、

最初から最後まで、

「デイヴィ坊ちゃん、大好き」って

言ってくれます。


ペゴティは、当時の労働者階級の女性なので、

デイヴィッドに、紳士になる教育を授けるとか、

そういう社会的な援助は、できません。


年齢や階級が違い過ぎて、

精神的に対等なパートナーにも、なれません。


でも、自分を手放しで愛してくれる、

このペゴティの存在は、

デイヴィッドの人生の、

小さな錨になってます。


ひるがえって、映画のジョージ。

彼には、ペゴティのような人は、いません。

家族はいるけど、フレネミー。

これから誰かと出会えるとも、思えない。


そんなジョージにとって、

ディケンズ小説の世界は、

デイヴィッドにとってのペゴティのような、

心の避難所になってます。


ある日、仕事を解雇されたジョージは、

ロンドンに飛び、

ディケンズ博物館へ。



そこで朗読会の案内ポスターを見つけ、

さっそく行ってみます。


その朗読会は、

ブックフェアのイベントの一つでした。

イギリスの俳優が、

目の前で、ディケンズ小説を朗読します。


ききほれるジョージ(マット・デイモン)の顔は、

見ものですよ。


そしてこのブックフェアで、

ジョージは運命の出会いを果たします。



一人はフランス人女性、

もう一人はイギリス人の少年。

この二人も、ジョージと同じように、

生死をめぐって、苦しんできました。


ディケンズが、

住む国の違う3人を繋げ、



もしかしたらジョージも、

デイヴィッドのように、

幸せになれるかもしれない、



幸せになる一歩を、

まさに今、踏み出すところかな?

というところで、

映画は終わります。


『ヒア アフター』、傑作です。



『デイヴィッド・コパフィールド』は、

岩波文庫や、新潮文庫で読めます。


ディケンズについて、詳しく知りたい人は、

「ディケンズ・フェロウシップ日本支部」のサイトへどうぞ↓




「梗概」をクリックすると、

『デイヴィッド・コパフィールド』のあらすじも読めます。


By 川崎


[PR]

by eikokushosetsu | 2017-08-09 20:55